WEBサービスを運営する上で、アクセス解析データを活用した継続的な改善は成功への鍵となります。単にデータを収集するだけでは意味がなく、分析結果を実際の改善につなげるPDCAサイクルを回すことが重要です。この記事では、アクセス解析に基づく効果的な改善サイクルについて解説します。
アクセス解析の基本概念
アクセス解析とは、単にデータを収集することではなく、「現状分析→課題抽出→改善策の考案」という一連の流れを指します。WEBサービスの状況を数値で把握し、その結果に基づいて改善策を講じるプロセス全体がアクセス解析なのです。
主要な分析項目
アクセス解析で確認すべき主な項目には以下のようなものがあります:
- ユーザー調査:年齢・性別・地域・興味関心などのデータから、どのような人がサイトに興味を持っているかを把握
- 集客経路調査:どのサイトやSNSからの流入が多いかを分析
- 行動調査:どのページをどれくらい閲覧しているか、スクロール率や滞在時間の把握
- デバイス調査:スマートフォン・パソコン・タブレットの利用割合を把握
- コンバージョン調査:商品購入や問い合わせなどの成果がどの程度発生しているか
PDCAサイクルによる改善プロセス
アクセス解析を活用した改善は、PDCAサイクルを回すことで効果的に進められます。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったフレームワークです。
1. Plan(計画)
まずは目標を設定し、現状分析を行った上で改善計画を立てます。例えば、「コンバージョン率を5%向上させる」という具体的な目標を設定します。
2. Do(実行)
計画に基づいて実際に施策を実行します。例えば、ランディングページのデザイン変更やコンテンツの追加などを行います。
3. Check(評価)
実施した施策の効果を測定し、目標の達成度を評価します。アクセス解析ツールを使って、施策実施前後のデータを比較分析します。
4. Action(改善)
評価結果をもとに改善点を見つけ出し、次の改善策を計画します。これにより、PDCAサイクルが一巡し、次のサイクルへと続いていきます。
アクセス解析を活用した改善の実践ステップ
1. コンバージョンまでの導線を把握する
まずは、ユーザーがサイト内でどのような経路をたどってコンバージョンに至るのかを把握します[4]。コンバージョン(CV)とは、WEBサービスが目指す最終的な成果(商品購入、資料請求、会員登録など)のことです。
2. データの精度を確認する
アクセス解析ツールが正確にデータを取得できているか確認します[4]。タグの設置位置や数が間違っていると、正確な分析ができません。
3. サイト全体のPV数やCV数を確認する
サイト全体のパフォーマンスを把握するために、ページビュー(PV)数やコンバージョン(CV)数などの基本指標を確認します。
4. ユーザーの特性について把握する
サイトを訪れるユーザーの属性(年齢、性別、地域、デバイスなど)を分析し、ターゲット層に合わせたコンテンツ改善の参考にします。
5. 改善策を実施する
分析結果に基づいて具体的な改善策を実施します。例えば:
- 入力エリアには入力例を表示させ、ユーザーが迷わないようにする
- 不要な入力項目は省いて、ユーザーの入力負担を軽減する
6. 優先順位の高いページから対策する
すべてのページを一度に改善することは難しいため、訪問者の多いページやCVページ、トップページなど重要度の高いページから優先的に対策します。
成功事例
旅行予約サイトの事例
ある旅行予約サイトでは、アクセス解析ツールを活用してユーザーの行動データを分析し、A/Bテストを実施して最適なページデザインを見つけ出すことに成功しました。その結果、予約率が大幅に向上し、ユーザーエクスペリエンスも改善されました。
ECサイトの事例
大規模なECサイトでは、従来のバックアップ復旧に8時間を要していましたが、自動化スクリプトの導入と並列復旧プロセスの実装により、復旧時間を45分まで短縮することに成功しました。
プラットフォームサービスの事例
あるプラットフォームサービスでは、カートまでのユーザー行動の導線分析を行った結果、同一ユーザーが複数回に分けてパンフレットを請求していることを発見しました。そこで「このパンフレットもまとめて請求しませんか」という提案機能を追加したところ、一度の請求で複数パンフレットの申込みが増加しました。
リコーの事例
リコーでは、アクセス解析ツール「User Insight」を用いたデータの可視化によって、トップページのナビゲーションを改善しました。その結果、トップページの直帰率が34.4%から25%へと9ポイントも減少させることに成功しています。
アクセス解析を活用する際のポイント
1. 継続的なPDCAサイクルの実施
サイトの改善は一度施策を講じれば終わりではなく、継続的にPDCAサイクルを回す必要があります[4]。施策がうまくいっても、まだ改善の余地があるかもしれません。
2. データの可視化
高機能な解析ツールで数字だけを見ていても、どこが課題なのかわかりづらいことがあります。ヒートマップなどの可視化ツールを活用することで、問題を絞り込みやすくなります。
3. KPIの明確化
改善施策の効果を測定するためには、KPI(重要業績評価指標)を明確に設定しておくことが重要です[9]。例えば「コンバージョン率」をKPIとし、施策によってどれだけ向上したかを測定します。
4. 優先順位の設定
すべての問題を一度に解決することはできません。重要度と緊急度に基づいて優先順位を設定し、効率的に改善を進めましょう。
まとめ
WEBサービスのアクセス解析に基づく改善サイクルは、単なるデータ収集ではなく、PDCAサイクルを回して継続的に改善していくプロセスです。ユーザーの行動データを分析し、課題を抽出し、改善策を実施し、その効果を測定するというサイクルを繰り返すことで、WEBサービスの品質向上と成果の最大化を図ることができます。
アクセス解析ツールはあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。データを活用して実際の改善につなげることが重要です。継続的なPDCAサイクルの実施により、ユーザーのニーズに応えるWEBサービスを構築していきましょう。

